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 円の実効レートでみた場合の騰落率の高さを考慮した場合、日本の通商政策の出遅れを挽回するために、貿易自由化路線を促進することはあり得ない話です。というのも、円の騰落率は世界でもかなり高く、通貨安の国で生産したほうが利益になりやすいために、日本の資産が海外に食われやすくなるだけだからです。TPPの場合、参加が考えられる国の通貨の中では、円の騰落率がダントツに高いために、貿易自由化路線の弊害がより鮮明な形体と言えます。
 なんでもかんでも貿易の自由化をした場合、輸出が伸びるので円高が進んでしまい、デフレを促進させてしまいます。したがって、お互いの国にとって利益になるような貿易を必要とし、貿易黒字もODAの額に見合うだけでよいと考えます。
 「日本は人口減少社会だから、貿易自由化などにより外需を取り込め!」という意見も根強いですが、それは、外需拡大→円高進行→国内市場の合理化→内需の不振の悪循環に陥るだけだと思います。
 農地の大規模化は、貿易自由化に対応できる農業の競争力強化策とは考えにくいです。その理由は2つあります。第1点は、東北南部、関東、甲信越の食料事情からくる要因です。魚沼地域は、山あいで土地が大規模化しにくい中で良質の米を生産してきました。したがって、日本には魚沼地域のような大規模化しにくい土地も多いので、大規模化ありきの制度では日本の農業は苦しくなるばかりです。また、首都圏の場合、小規模兼業農家も多く、食糧供給地域の隣県も同様であり、大規模化ありきの制度では首都圏の食糧事情が悪化しかねません。第2点は小泉政権の政策からの観点です。つまり、食糧法改悪による米価の低迷促進と、転作奨励金の大幅削減により大規模農家ほど厳しい経営環境に陥ったままになったからです。そもそも、先進国で小規模農家を無視したかの政策を採っているのは日本くらいです。以上述べたように、小規模農家や兼業農家を保護していかなければ、世界の食料市場の高騰で被害を被ったハイチみたいな国家となるだけです。
 今の日本に求められるのは、通商政策や貿易自由化よりも、円高是正と内需拡大です。日本の内需不振は公共投資減少による設備投資の冷え込みが要因なので、公共投資の拡大は必要な政策と言えます。
 なお、今回記事を書くのにあたり、経済コラムマガジン380号、386号を参考にしました。



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