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 円の流通量を増やし、相対的に円の価値を下げる日銀の追加緩和策は、円高是正への有効策の1つです。
 安住財務相の「国内に工場を新設する企業向けの補助金拡充」や、「中小企業の資金繰り支援を検討する考え」は、応急措置にすぎず、求められるのは、欧米を説得して協調介入を実現して、「断固たる円高阻止」に動くことです。
 円の実効レートでみた場合の騰落率の高さを考慮した場合、自由貿易協定推進はあり得ない話です。というのも、円の騰落率は世界でもかなり高く、通貨安の国で生産したほうが利益になりやすいために、日本の資産が海外に食われやすくなるだけだからです。TPPの場合、参加が考えられる国の通貨の中では、円の騰落率がダントツに高いために、自由貿易協定推進の弊害がより鮮明な形体と言えます。
 なんでもかんでも貿易の自由化をした場合、輸出が伸びるので円高が進んでしまい、デフレを促進させてしまいます。したがって、お互いの国にとって利益になるような貿易を必要とし、貿易黒字もODAの額に見合うだけでよいと考えます。
 そもそも、日本の関税率は世界でも低いほうです。
 日本は欧米の主要国と比較して、企業の負担率は低いです。また、法人税を減税することは、ビルトイン・スタビライザー機能を低下させるだけにすぎません。しかも、日本の法人税は人件費や設備投資費や研究費などは控除されているため、減税されても株主配当や余剰金ばかりに使わることになり、経済効果が大きいとは考えにくいです。
 肝腎の所得が増えなければ全体の消費が増えることは難しい性質と、ある消費が増えた場合他の消費が減る性質が消費にはあるため、デフレ下では特区で日本全体の消費があまり増えないと考えます。また、特区が行われた場合、特区内で規制緩和などの構造改革が行われますが、デフレ下で行われた場合、一時的には投資が増加して経済拡大となりますが、中長期的には供給過剰がさらに拡大し、各企業が低収益に見舞われてるため、市場の淘汰が開始して、退出する企業が続出するために、デフレがより加速させるだけです。デフレ下での規制緩和も特区と同様なことが言えます。したがって、特区や規制緩和は、内需拡大や雇用創出を期待できるとは言い難いものです。
 今の日本に最も求められている政策は、日銀の金融緩和とセットで内需を伸ばしていく政策です。内需を伸ばしていく政策としては、設備投資の増加をもたらす政策が必要です。設備投資の不振も公共投資の減少からくる要因が大半なので、公共投資の増加が必要です。

なお、今回記事を書くのにあたり、経済コラムマガジン299号、380号を参考にしました。



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